認知症について知っておきたいこと 〜失行・失認〜

 認知症で知っておきたいことの中に、失行、失認があります。聞いたことがあったり、勉強したこともある介護職も多いと思いますが、改めてこの失行、失認について整理すると日ごろの認知症ケアの参考になると思います(*^_^*)


失行

 失行とは、運動障害はなく手や足が動くのにまとまった動作や行為が出来ないことをいいます。麻痺ではないのに、行為に至ることができなかったり、行為の手順がバラバラであったりすることが特徴です。

 構成失行

 これは構成物を操作する時に出てくる失行です。構成失行がある場合に、例えば本棚の整理をするとして、漫画本を1巻から順番に並べてくださいと指示したとしても、どういう風に並べればいいのか分からず、順番通りにならなかったりします。


 観念失行・観念運動失行

 この失行は、物を扱う時にうまく扱うできないことをいいます。簡単なもの、例えば100円ライターをみせて、「これは何ですか?」と質問すると「煙草に火をつけるもの」と答えることはできるのですが、実際に使おうとすると火をつけようとはせずにテーブルに立ててみたりします。また、お茶葉と急須とお湯があっても、手順よくお茶を入れることができなかったりします。失行だけが原因ではありませんが、お絞りは手を拭くものと認識していても、実際に使って見せるように言うとコップに中に入れてしまったりということは介護現場ではよくありますね。


 着衣失行

 
服を着る時にうまく着れない、衣服をうまく使いこなせないことをいいます。ズボンを腕に通そうとしたり、これは高齢者介護の場面によく見られる光景ですね。高齢者介護の場面では、この着衣の失行が非常によく出るといわれています。多くの介護職がこうした行為を見たことがあると思います。



 このほかにも、失書(手に運動麻痺が無いのに字が書けない)肢節運動失行(起立したり歩いたり出来ない、グーパー交互(左右違う形)が出来ない、ボタンかけができない、本のページをめくりにくいなど)顔面失行(顔面の筋肉をうまく動かせない)といった失行があります。



失認

 字の通りになってしまいますが、「失認=認めることを失う」ということです。空間や身体、情報(標識や顔など)、遠近感、全体と一部のつながりなどを認識することに障害があることがこの失認です。


 視空間失認

 空間情報を認識して操作することが出来ないことをいいます。地図上で見当識障害があり東京がどこかわからないといったことや、見えているのに空間の左側を無視してしまう半側無視といったことがあります。これは高次脳機能障害で最も頻繁に出る症状といわれています。


 左半側身体失認

 左側の空間無視、視空間失認とセットになって出る症状に、左半側身体失認があります。椅子に座る時に左手をお尻の下にあることに対して、気付かなかったりします。


 失認には、このほかにも相貌失認(顔が分からなくなる失認)、色に関する失認、読む時に起きる失認等がありますが、高齢者の脳血管性認知症には、「左半側無視」と「左半側身体失認」が代表的な失認です。



 上手に付き合いたい失行、失認

 失行や失認は、完治することは難しいとされています。ですのでこうした症状がある利用者、高齢者に対して他上手に付き合っていきたいなって思います。できない部分をさりげなく支援し、認識することができないことを認識させようとするのではなく、認識できなくても支障のないようにサポートすることが大切です。

 生活の中での細かな部分で、「これは失認していることが原因なのではないか?」と感じる部分を見つけだすことが、認知症ケアをスムーズにする切っ掛けになるかもしれません。(*^_^*)




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