入浴について知っておきたいこと

入浴の基礎知識
 入浴は、身体の清潔を図ったり、気分を爽快にさせ、精神的、肉体的な苦痛と緊張を緩和させるものです。また、皮膚の新陳代謝をよくしたり、血液循環をよくするので疲労の回復、排泄作用の促進と睡眠を助長するものでもあります。様々な効果があることは施設の利用者にとっても大切なことだと思いますし、一方、介護を行なう職員にとっては、利用者の皮膚の異常や全身の状態を知るチャンスでもあり、ホントに大切な時間だと思います。


介護施設での入浴
 集団生活の中の、限られた時間の中での入浴となるため、職員にとっては大変忙しい業務となってしまっていると思います。特養や老健では、運営基準どおりに一人の利用者に対して週2回の入浴が行なわれているところがほとんどではないでしょうか? (私が初めて勤めた特養は週3回の入浴が実施されていました)  近年ではユニットケアをはじめとする個別ケアが重要視されるようになって、中には「選択浴」のような形で、利用者の希望に合わせて、入浴日や時間を決めているところもあるようです(^^)


入浴のリスクについて
 高齢者の入浴について、そのリスクを知っておかなければいけないと思います。入浴は、利用者にとって楽しい時間です。基本的に日本人は、お風呂が好きな人は多いですよね。実際、私の働いている施設でも「アー、やっぱりフロはいいなぁ」なんて、鼻歌を歌いながら気持ちよさそうに入浴されている利用者も多いです。本当に気持ちよさそうに入っている人や、お風呂に入ることを楽しみに待っている利用者の姿を見ると、「しっかり、安全にケアしなきゃ」「利用者に安心して入浴してもらえるようにがんばろう」なんて、思っちゃいますよ(^^) ただ、健常者とは違って高齢者の場合には注意しなければいけないこともあります。
 近年では、特に在宅での「入浴中の死亡事故」が増えているそうです。いろいろな原因が考えられますが、その原因として最も多いのが脳卒中や心筋梗塞、また、動脈瘤破裂などの高血圧や動脈硬化などが挙げられるようです。このほかにも心臓疾患や脳出血なども多いといわれています。
 こうした事故の中には、入浴中に軽い心臓発作や、脳出血発作が起こって、助けを求める間にめまいやのぼせが起こり、湯船に沈んでしまったという事例も多いようです。入浴中の事故の多くは、高血圧や動脈硬化がきっかけで、入浴中に悪化し、心臓や脳、血管に悪い影響を与えていることが原因として考えられているようです。これは、在宅に限らず介護施設の入浴でも、気をつけなければいけません。


入浴時の血圧の変化による危険
 寒い季節における事故が多いのは、入浴中の高齢者の事故の特徴ですが、それは血圧の変動が原因と考えられています。
 血圧の変化にはまず、2つの要因があります。一つには脱衣室や浴室の寒さと血圧の変動に関係があると考えられていて、浴室の室温とお湯の温度との温度差が大きいと、血圧や脈拍数が上昇し、心血管系臓器に負担となってしまいます。
 二つ目の要因としては、湯温があります。もし42℃以上の熱めのお湯に入った場合には、入浴後1〜2分で血管が収縮して血圧は急上昇します。冷えた体で入浴すると温度差が大きく、特に高齢者の場合は、収縮期血圧(上の血圧)で、平均30mmHgくらい上昇するようです。動脈硬化や高血圧の病気を抱えている人や高齢者などにとって危険なのは、お湯に入った直後、急激に血圧が上昇するため、血管が破れて脳出血をおこしたり、心臓に負担がかかり心臓発作をきたすことだと言われています。
 さらに入浴を続けると、体が温まるにつれ血管が拡張して心臓の拍動や呼吸が速くなり、約5分後には今度は徐々に血圧は下がってきます。血圧が下がるとめまいをおこしたり、入浴によって大量に汗をかくため口渇を覚えることがあるかと思いますが、血液中の水分が減って血液の粘り気が増し、動脈硬化で内腔が狭くなった血管は詰まりやすくなり脳梗塞や心筋梗塞の危険性が出てきてしまいます。


入浴時の事故防止について
 入浴時の急な血圧の変動を避けるための方法ですが、まず、お湯の温度は41℃以下(夏は38℃がよいとされる)にする、事前に脱衣室や浴室の温度を24、25、26℃程度に高くしておくなどの入浴を行なう環境に注意することが必要です。また、入浴時間は10分以内とする、体調が思わしくないときは入浴を控えるなどが重要です。熱いお湯で長湯を好む人では血圧の変化率が著しいことや発汗による脱水のため、湯のぼせや湯あたりが生じることも事故に至るおおきな原因になります。
 とくに高血圧、心臓疾患のある人や高齢者は一番風呂を避け、肩までどっぷり浸かるよりも半身浴が効果的です。半身浴は38〜39℃のぬるめのお湯にみぞおちまでつかり、汗ばんでくるまでじっくり温まる入浴方法です。また、このとき上半身がお湯から出ているため、肩にタオルをかけたり浴室の温度を暖かく保つ配慮が大切です。水、白湯、番茶などコップ1杯程度の水分補給も必要ですね。





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